9.6|Sat|— 10.4|Sat| 赤崎みま・富岡直子−二人展

当ギャラリーでは9月6日より「赤崎みま・富岡直子」二人展を開催いたします。二人は、写真、絵画と表現方法は異なりますが、とらえどころの無い「光」というものを作品の主軸に捉えているという共通項を持っています。

 大学で染色を学んだ赤崎みまは、90年代より、一瞬の光の表情を定着させる手法として写真を選んできました。当初の抽象的な写真から、徐々に室内でモチーフに光を当てて、撮影する写真へと変化しました。光の持つ意味を「希望」と捉え、そこに歴史的背景や意味の記号等を作品のメッセージとして、様々なモチーフを登場させました。西洋絵画に登場する葡萄や、オリーブ、また日本的な折り鶴、蓮などが背景の闇の中に光を発して浮かび上がる作品群でした。今回は、東京の森鴎外記念館で発表されたイチョウのシリーズを展示いたします。モチーフになったイチョウは、植物を愛でた鴎外の庭の中で、火災という困難から逃れ今に続く唯一の木です。赤崎はその佇まいの美しさに感銘を受け、過去から未来へ続くものの象徴としてイチョウを撮影しました。そして、続いて行く生の証として『光』を表現しました。チェコでの滞在を経て、作品に込められた時間軸に幻想性が加わったように感じます。また、ラムダプリント(クリスタル)による光沢を放つ独特の質感は、全体が淡い光を放つような繊細な画面になっています。時空のなかで変化し続ける「光」に対する関心、その根底には作者の「生」への慈しみがあると思えるのです。

  一方、絵画を表現手法とする富岡直子は、光が揺らめくような空間性のある作品を発表しています。その色彩の透明感と輝きは、自然や宇宙やその要素を分化したような根源的な生命のエッセンスを想起させます。富岡は、「描くというより彫り起していく感覚に近い。描いているうちに、もともと画面にその色や形があったんじゃないかと思えてくる。」と、語っています。必然を持って表出される色と形、それらが作品の強さと聖性につながっている様に思えます。富岡にとって「光」とは、光と闇が混在する世界と向き合い、作者の内と外の合間で手にした「生」の証であり、希望でもあります。今回は、2006 年のNY 滞在(文化庁新進芸術家海外留学)で制作された作品4 点を展示します。関西では16年振りの発表となります。来年初頭には損保ジャパン東郷青児美術館でのグループ展を予定しており、NY 滞在中の作品は、その変わり目に位置する作品たちと言えます。

 観る者を惹き付けてやまない「光」。二人の作品を通してそのメタファーと魅力を堪能する機会にしたいと考えています。